「12月の洗車売り上げ3年連続で300万円を狙う」こう宣言するのは、神垣石油ステーション31の大塚マネージャーだ。「特に今年は高額洗車を強化するために予約制を導入したい」と意気込んでいる。
ステーション31はカーケアで圧倒的な売り上げを誇る。かねてより整備部門には専門のスタッフを入れるほど力を入れており、より整備工場に近いSSと言ってもよい。単にガソリンを入れるだけではなく、車のこと全般を任せたくなる存在としてお客様からの信頼が厚く、それが洗車収益をアップさせている。昨年の12月の油外全体の売り上げは何と2000万円、うち収益は832万と実に驚異的な成績を残している。
これほどまでに支持を得ているお店だけあって、年末の混雑ぶりは尋常ではない。約260坪ほどの店内は、給油、整備、洗車のお客さまで店内は一杯になる。その状態の中で車をスムーズに処理できなければ売り上げどころかこれまで培ったお客さまの信頼までもを失いかねない。そこでステーション31では、この混乱を切り抜けるための思い切った方法に打って出た。
ステーション31は導線として、洗車レーン、ピットレーンのほかに常時給油のための4レーンが設定されている。
洗車は、門型洗車機と快洗Jr.による手洗い洗車。年末は当然、洗車のお客さまが殺到するが、特に手洗いの比率が高まる。ましてや作業時間のかかるわけだから、キャパシティを広げる以外手はないと考えた。その結果が、手洗い洗車に近い給油レーンを廃止し洗車専用レーンとして使用するという方法だ。
これにより、洗車の可能台数は通常2台であったのが、4台にアップ、処理スピードは一気に加速した。
ステーション31の今年の新たな試みは予約制だという。しかし、この予約制はこれまで語ってきた予約制とは少し意味が違う。年末の需要をいかに前に移行させるかが目的だ。年末はその店舗の受注のキャパシティを超えた洗車需要があるわけだが、その超えた分をいかに12月上〜中旬に移行できるかが12月の売り上げを伸ばすカギだと言う。
具体的には11月下旬より、高額コーティングを中心に声かけを行っていく。しかも、少々強引ではあるが、声かけに終わらず、その場で予約を取ってしまうというものだ。お客さまは腰が重く、自ら動こうとしない。つまり、予約とは待っていてはダメ、取りに行くもの。もちろん、スタッフ個々の提案能力が高いがゆえにできる手法なのだろう。カーケアの売り上げが高いのも充分うなずける。
暇な店というのはサービスが悪いなど何らかの理由があって暇なのだろうと考えるのが一般的で、どちらかといえば忙しい店の方が入りたくなるというのがお客の心理だ。ところが、ステーション31はまったく逆の考えだ。大塚マネージャー曰く「忙しい状態を見るとお客さまは時間がかかるのではと敬遠してしまう。私たちは常にいかに暇そうに見せ、頼みやすい状態を作り出すかを心がけている」とのこと。お客さまからの信頼が高いゆえのビジネスへの自信とも取れる発言だ。