御影といば財界人、文化人などの豪華な御屋敷が建ち並ぶ、関西屈指の高級住宅街。その出口ともいうべき場所に洗車の予約制を採り入れ収益アップに成功している店がある。
三宮オイル御影給油所は国道2号線沿いに位置する、店舗面積わずか150坪の一見ごく普通のSSだが、給油に占めるハイオク比率は40%を越す高収益店だ。
この店の特長は何といってもその洗車レベルの高さであり、付近一帯でも随一の評判だ。
昨年より洗車に力を入れ始めると、洗車に対する評判も次第に上がり、問い合わせの電話が入るようになった。それが予約制導入のきっかけだという。
予約の中心は高額コーティングだが、いずれは完全予約制を視野に入れ、現在は予約制の普及に努めているそうだ。
「予約が入ることによりスタッフが心の準備も含め、余裕を持った接客ができる。これはお客さまとのコミュニケーションにおいてとても重要なこと」と房延マネージャーは語る。
また、お店が混んでいてスタッフが忙しそうにしているのを見ると、「時間がかかって待たされそう」とか「申し訳なさそうで頼みづらい」といった気持ちになるようだが、予約できることでとても頼みやすいとお客様からも好評だ。この点でも予約制を導入した意義は大きいという。
予約制の基本となっているのは緻密な顧客管理だ。自らパソコンは苦手という房延マネージャーだが、エクセルに打ち込まれた顧客情報には、次回メンテナンス予定日やDM発送予定日などがびっしりと入っている。この情報をもとにDMを絶妙のタイミングで送ることが、予約率を高める要因となっているようだ。
御影SSのもうひとつの年末対策は、洗車工程ごとの作業スペースの固定化だ。洗車、コーティング、室内清掃、仕上げ確認などの流れに従って作業スペースを決めることで、これまで混雑時に車が出られないというような事態に陥ることがなくなったという。狭い店舗ならではの有効なアイデアだ。
そして、3つ目の対策として、年末に集中しがちなコーティング類をできるだけ前に注文していだくために、12月初旬からお客さまに積極的に提案をしていくことである。施工の質を落とさないことはもちろん、12月全体の売り上げアップには有効な方法である。今年12月の洗車売り上げは昨年より100万円アップの300万円を目標にしている。
ところで、御影SSの洗車の評判のよさはどこにあるのか。
「特別なことはやっていません。最後の仕上げ確認を必ずお客さま自身にしていただき、納得してもらうことが基本です」と房延マネージャー。
やはり土地柄ゆえかベンツ、BMWなど大型高級車が多く、洗車においても上質であることが求められているとも言えるのではないだろうか。
その期待に応えるべく、御影SSではスタッフの洗車技術のレベルアップを怠らない。毎月全員に洗車テストを行い、合格するまでは決して洗車業務に当たらせないといった徹底ぶりだ。そこには房延マネージャーならではの洗車ビジネスに対するこだわりが感じられた。