「うまい」が大前提
ラーメンを食べようと思ったとき、まず何を考えるか?「うまいラーメンを食べたい」である。私達はラーメンを食べることに関してあらゆる選択権がある。それぐらいの豊かさは誰でも持っている。食べることによってエネルギー補給をしようとするだけではなく、食べることによって「美味しい事」を楽しもうとする。だから、まずいラーメンは不快であり、選択の対象には決してならない。
「行列が出来るラーメン屋」とは、ラーメンがうまいから行列が出来るのであり、遠方からわざわざその店でうまいラーメンを食べるためにやってきたり、行列に長い時間かかっても、多少値段が高くても、みんな、うまいラーメンを食べたいから、そういうことはある程度は我慢する。
ラーメンは「うまいこと」が一番大切なことであり、繁盛店であることの大前提なのだ。洗車でも同じような事が言える。洗車は、どれぐらいキチンと「きれい」になるかが、ラーメンの「うまい」にあたり、「きれい」さが付加価値そのものである。きれいさを重要な要素と考えているユーザーにとっては、速さよりも、安さよりも、便利さよりも、きれいさが優先するのだ。
「速い」は「うまい」
洗車は「きれい」が優先であり、速さは二の次と書いたが、それは、行列の出来るラーメン屋で言うところの、「行列を作って待つ時間」のことであり、ラーメンを作るスピードが遅いことではない。ノロノロと無駄に時間を掛けて作ったラーメンなんてうまいはずがない。スープは冷めてしまうだろうし、麺だってノビて、まずいラーメンになってしまう。
うまいラーメンを作るプロのラーメン屋は、手際よく、素人が見ていて惚れ惚れとするようなスピードで、ラーメンを作っていくのだろう。そんなプロのラーメン屋が作るラーメンだから、きっとうまいのだ。
「うまいは、速い」「速いは、うまい」である。
洗車も同じで、チンタラ、コテコテ、ダラダラとやっているような洗車は、間違いなくへたくそな洗車であり、キチンときれいな洗車にはなり得ない。
うまい洗車屋は、手際がよく、鋭い動きで、目が効き、素人が見ていて惚れ惚れするような、きれいな動きで、スピーディーに質の高いきれいさを作り出していくものだ。
質の高い洗車は、スピーディーな動きから生み出される「うまいは、速い」「速いは、うまい」である。
人はそれぞれ。好き好き
私は、うまいラーメン屋さんのラーメンも大好きだが、インスタントラーメンも大好きである。日清のカップヌードルは、ノーマルなのが一番好きで、シーフードは苦手。でも、カレーヌードルは結構好きである。
しかし、行列の出来る名物ラーメン屋さんがプロデュースしたという、凝ったインスタントラーメンは、概して、うまいと思ったことが無い。
ラーメン屋さんのうまいラーメン、インスタントラーメンらしいインスタントラーメン、私は両方とも大好きである。
ラーメン屋さんのラーメンの方が優れているのか、インスタントラーメンの方が優れているのか、そんなこととは関係なく、それぞれなのである。洗車も同じで、きれいさは機械任せであるが、安くて、とにかく速いのが好き。しかも乗ったままで車を洗えてしまう連続洗車機での洗車一番であるという人もいる。
逆に、洗車は機械任せなんてとんでもなく、人任せもいやだ、やっぱり自分の車は自分できれいにすべきであり、徹底的にやらなければ、気が済まない人もいる。
人それぞれであり、どちらが優れているものでもなく、あくまでも好き好きなのである。
そんな好き好きの中で、「車をきれいにしていたい。キチンときれいにしていたい。スタンドでの洗車では物足りない。だから、自分で洗っている。が、自分で洗うことが好きでやっているのではない。だから、自分を満足させてくれるきれいさを実現してくれる洗車が売っていれば、出来ればやってもらいたい。時間は多少かかってもいいから、お金もある程度払ってもいいから。」という人が、いっぱいいて、これが快洗隊のメインターゲットの客層である。
1台あたりの平均購買単価 |
●刈谷店 |
6,830円/台 |
●知立店 |
6,779円/台 |
●安城店 |
6,100円/台 |
●北神戸店 |
7,232円/台 |
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この客層の求めるきれいさの付加価値は、お金に換算すると、洗車の客単価で表現できる。
例として左の表は昨年12月の快洗隊直営店の実績。これで言えば、洗車商品の1台当たりの平均購買単価となる。
インスタントラーメンは安い、しかも、これが好きな人もいる。でも、それよりウンと高いお金を払って、ラーメン屋さんのラーメンを食べたい人もいる。人それぞれ、好き好きである。
洗車も同じようなことが言える。お客様は「洗車」と言えば、車がきれいになることが目的であって、「車を洗う行為」をしてもらう事が目的ではない。
「車を洗う行為」は、「車をキレイにする」という目的のための「手段」である。
お客様の洗車の目的は「車がきれいになること」それが「目的」であるのだから、「手段」は「車を洗う行為」だけではない。車をキレイするために、「磨く事」が必要なこともある。
洗ったきれいさより、磨いたきれいさの方が、ウンときれいになる。だから、より付加価値の高いきれいさを求めるならば、磨くことも必要なのだ。
あるいは、室内をきれいにしたければ「掃除」する手段が必要であり、アルミホィールをきれいにしたり、窓ガラスとか、エンジンルームとか、シートとか、車のあらゆるところをきれいにしたければ、「洗う」「磨く」「掃除する」この3つの手段を用いる事が必要となってくるものだ。
快洗隊刈谷店の実績(平成14年12月) |
商品名 |
件数 |
金額 |
洗車(水洗い、撥水) |
617件 |
1,285,305円 |
コーティング(7種) |
574件 |
5,216,105円 |
室内などの掃除商品 |
828件 |
1,632,000円 |
洗車合計 |
2,019件 |
8,133,410円 |
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一言で洗車と言っても、それは、車を洗うことだけを指していうのではなく、あらゆる手段を用いて、車をきれいにすること全体を指している。
これも、12月の快洗隊(刈谷店)での実績で例えれば左記の表のようになっている。快洗隊のお客様が求めているきれいさとは、この販売商品構成の台数と、金額の大きさの構成が物語っている。
つまり、快洗隊のお客様の求めているのは、洗うきれいさが、128万円分であって、磨くきれいさが、521万円分。掃除するきれいさが、162万円分であったということ。
「洗うことによるきれいさ」には、128万円しかお客様は払っていない。そして「洗う」「磨く」「掃除する」するそのすべてのきれいさに対して、813万円という価値を支払ったということ。それを総称して「洗車収益」と言って、単に、車を洗うことを指して言っているのではない。
洗車とは、
車を洗うことではない。
車をきれいにすることである。 |
洗車はサービス業 ガソリンは物販業
洗車という商売をラーメンにたとえて色々書いてきたが、根本にあるのは、洗車ビジネスはサービス業であり、ラーメン屋さんもサービス業。両方とも、自分の店で、自分の品質で、自分の付加価値を作り出す商売。人が作った物を販売する物販とは根本的に違うということ。
・自分で原料を選び
・自分で仕入れ
・自分で技術を学び
自分の技術で商品を製造し
自分で品質管理をし
自分で商品紹介をして
自分で接客して
自分でマネージメントしていく
ある意味、究極のサービス業。
その対極にあるのが、ある意味、物販の究極の形であるガソリンスタンド。つまり、同業者が全部自分と同じものを売っているという物販。だから、洗車を考えるときは、ガソリンスタンドの常識の中で考えるより、いっそのこと、洗車と同じサービス業であるラーメン屋のことと対比させて考えた方がしっくり行くのだ。それが「ラーメンと洗車」の考え方。 |