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「洗車の明日について」の三つの話
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世の中のシゴト

- 第2回 自動販売機ビジネス

 
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第2回 自動販売機ビジネス
 犬も歩けば〜自販機が電柱替わりになるほど日本という国は自販機が氾濫している。余地に置くだけで儲かると言うセールスをする会社もあるが、実際どうなのか。
自販機には、身近にあって有難い場合と、立地によっては迷惑を感じるものもある。昨今、中身は実にバラエティに富み興味深い。
 今回は、市場規模や採算性などの観点から、いったい自販機はビジネスとなり得るのかを探ってみたい。
自販機の発祥
 元祖自動販売機は、紀元前二百十五年頃のエジプトの寺院に置かれた聖水の販売機だと自販機工業会では紹介している。何でもこの自販機は「てこの原理」を応用していて、投入した硬貨の重みで傾いた内部の受け皿が元に戻るまで弁が開いて水が出る仕組みらしい。あっぱれな発想だ。
 一方、日本最初の自販機は、明治21年に考案された「たばこ」の自販機。近代的な自販機の元祖が日本での発明だったとは、やはり日本人の知恵はあなどれない。

清涼飲料から生花まで
 最近の自販機を見ると、販売機に入るものは何でも入れてしまう感がある。アレンジ力が旺盛な知恵者日本人ならではの展開だ。中身もさることながら、全体を覆う機械のデザインやそこに踊るコピー、買いたくなる仕掛け、それら一つひとつがアイデアの競争でもある。
 昨年平成13年度末の自販機普及台数は552万600台。コインロッカーなどの自動サービス機も含んでいるが、その『年間自販金額』(業界用語?)は7兆円に及ぶ。
 機種としては、主力の飲料やたばこに加え、お菓子に麺に冷凍食品、アイスクリームといった食品関係。馴染みが深いのは券売機。その他として新聞や雑誌もかなり古参。乾電池や玩具も街中のショッピングアーケードでは出会う。自販機の類にはパチンコ玉貸し機やコインロッカーもカウントされる。夜の繁華街では、生花の販売機も稼動している。つまり無人で、モノが機械に収まり、そこそこの需要があるという単純な条件を満たせば、ある意味何でもアリなのだろう。

コストバランス
 自販機のコストについて。平均時給1,000円の人間が24時間売り子をしているとしたら、一日22,000円。一年で876万円也。人間自販機になりたい?
 飲料自販機の年間消費電力が2,600kwhで、平均的に電気料金換算すると月に4,300円。一年で51,600円。機械が新品で80万円内外とすると、場所代は抜いて考えても85万円のイニシャル+ランニングコストとなる。年間自販金額を普及台数で割ってみると、飲料自販機一台あたり年間102万円の売上をあげていることになるので、新品の機械を購入しても一年で20万円弱の利益が得られる算段だ。条件の良い設置場所だと、まことに有難い商売ツールとも思える。
 しかし、最大の敵は根本的な立地にあること。ベンダー会社や機械の供給先としては、商品が売れることも大切な要素ではあるものの、商品宣伝の広告塔としての役割を担っていることが大きい。とあれば、機械設置場所争奪戦も頷ける現象。コーラの自販機を右手に、角を曲がるとまたコーラの自販機って、よく見かける風景だ。

一本おいくらの利益?
 変なケーススタディをしたが、これ以後の話は実際の自販機斡旋会社の広告にあった数字。『自販機を置く場所と電気だけ提供してください』という場合、通常一本販売で24円のマージンを払うとある。先述したように、消費電気が月に4,300円だと、一日の消費電気代は143円。これを24円で割ると、一日約6本販売すれば電気代は賄える。自分の土地なら、7本目からは純利益となる。ただ、10本売っても240円ぽっきり。
 商品の補給やゴミ処理は設置会社が面倒をみてくれるというのが条件。さて、これをどう考えるか。
 どうせデッドスペースとなっているなら、置いておくのもいいかもしれないから手間いらずのサイドビジネスと考えてやってみる。が、これが案外無用心な代物になることもある。一日500円ほどの利益の代償が、周辺に見知らぬ人が集まる状況を作り、汚れ、犯罪の元になる可能性も含む。
 ここまで考えると、何もしなければ何も起こらないのか?と言っているようだが、実は違う。場所があるなら自販機を置いてみればいい。何が起きるのか判らないなら、何が起きるのか確かめるつもりになればいい。それで勉強できて小銭が入る。上手く出来ている。
 酷暑を過ごし、自販機にお世話になったことでもあるし。