- 第1回 産業廃棄物
販促は「くくる時代」から「得してもらう時代」へ。 基本的には、10年前と何ら変わらないTV広告や新聞折込などの広告・販促。 しかし、今、水面下で大きな潮流が出来つつある。その流れをSS業界、そして洗車市場に対しあてはめてみる。
安くしても売れない油外の扱い方 立地×店×商品×接客×背景。 店舗を構え小売業を運営する場合、大まかにこの5要素が絡み合って売り上げが左右される。SSを燃料油販売業として見た場合、立地や店が大きな要素となる。 しかし、洗車などの油外商品を見ると、一般小売業と変わらない側面が出てくる。 地域に轟く名物商品があれば遠距離からでも来店者が絶えないだろうし、価格差も商品特性・ラインナップ・接客でかなりカバーできる。 ホテル業において「泊まる」という行為に対し、3,000円程度のカプセルホテルから十数万円のスィートルームまであるように、油外商品は現在の常識と次元が違うくらい千変万化しても、ちっともかまわない。 ついつい油外商品も価格差のベクトル中心だけでアピールしがちだが、消費者は「安ければ何でも買う」という訳ではない。「欲しいと思った時」はじめて買ってくれるのだ。 立地に恵まれず、店が古く小さかったりしても、工夫次第で、アピールする方法はどれだけでもある。ただ、燃料油販売と同じように広範囲に網をかけるような売り方で、うまくいかないことも多いので、根気がいる。 一般小売り商品もジャスコなどのメガショップがどんどん出店されあたかも立地と店と商品力で、市場を総ざらいしてしまいそうな勢いがある。 しかし、その一方で自らの生活においてみれば、コンビニはしょっちゅう利用するし、ビデオや散髪はサンダル履き商圏から出ることはまずない。 そして休日を利用する買い物は車で出かけ、店の大小に関わらず、「いいもの探しや、新しいもの探し」の買い物を楽しむ。 油外商品は、組立方次第で「高いからこそ喜ばれる物」もあったり「他には無い変わった物」があるとお客さんが勝手に広めてくれることもある。 油外商品は燃料油販売とすっぱり売り分けることで立地や、店の大小新旧にとらわれない活路が見出せる。 意識すべき女性 さあ、ではどうすれば燃料油と違うスタンスで販売促進できるか? それは、素直に素直に消費者を見渡し、今時の財布は女性が握っていることを認識すべきだ。 車はほとんどの女性にとってブラックボックスであるので、直接購買者としては「男7:女3」か8:2くらいのままでこれからも推移していくだろう。 しかし、油外商品の多く、特に週末にかけて売れる洗車などは、女性が意思決定していると思いこむくらい思っていい。 燃料油は、一般家庭において家賃やローンと同じく「経費」である。しかし、洗車などは買ってもいいし買わなくてもいい。つまり洗車は、お小遣い的財布の中から出費される。 洗車と競合するのは、外食代や、衣服、趣味の出費と天秤にかけられる。ここで、女性から「買っていい」と言われるか、「洗車なんて」と否認されるか。着眼点をここに置くかどうかで、これからの繁盛店作りは大きく分かれて行く。 例として極端だが、女性客が普通に出入りできるようになった、「パチンコ店と麻雀店」「カフェと純喫茶」の違いに置き換えると 理解してもらえるだろうか。 間違えて欲しくないのは「女性客狙い」ではない。レディースデーや女性専用メニューを作っても、反応率は高くないだろう。(もちろんレディースデーが無駄とは思わない。どんな販促手段でも有効だが順位付けすると高くなくてもよい。という意味) 女性が、認知・許可する店、売り方、品揃え、仕掛けが必要だ。という意味である。 現代の買い物市場はそれほど女性の意思が反映されている。 あまり笑えない話だが「いやいやそうではない」と否定しがちなのは、可処分所得が多く意思決定が得意な経営者、運営者が多い。「雄型思考」の経営者視点で販売促進を組み立てると、どこかストイックさや「大きいことはいいことだ」路線になる。 蛍光灯より白熱球での「ライティング」ハードな機能訴求や比較広告より「かわいい」と言われる感性路線。右肩上がりな名前より「癒し系」なネーミング/キャラクター。 これからの油外商品販売は、オンナゴコロをくすぐる柔軟な発想も取り入れるべきだ。 看板作りの法則 店頭の演出はSSにとって非常に大切な販促活動。様々な商品の告知にあふれる店が多いが、これも注意深く演出しなくてはならない。 なぜなら、どんなにお金をかけた看板でも時間がたつと店の風景に馴染み、本来の効果が発揮できなくなるからだ。効果的な演出がされているかどうかは、何気なく店を見渡し、ポンと目に入る刺激物が何なのかをチエックする「刺激点検」が有効だ。 新しい看板をつければ、当然それが刺激になる。 それが何ヶ月か経過したあと、店全体が「どう見えるか」をチェックすると、何がアピールされているのか、浮かび上がる。 そして、それが販売したい商品と合致していなければ、つけ替えや、追加が必要となる。この刺激点検を定期的、かついろんな人の目で、行うことでマンネリ化や「視覚の雑音化、騒音化」を防ぐことが出来る。 看板作りは「遠・中・近」の視点で行う 刺激をチェックする。とはいっても、社名やメーカーマークを変える必要は当然ない。看板は「遠・中・近」の距離視点で分類すると必要なものが整理できる。 「遠」すなわち店が認知される一番遠い距離。これはサインポールのメーカーマークと、「業種表示」が掲示の要。 [洗車]とか[車検]とかシンプルにキャッチフレーズなしの看板でいい。 なぜなら、一般のドライバーが数百メートル前から車を運転しながら分析可能な情報量は知れている。 あれこれ書いても目に止まらないし、少しでも遠くから視認させるには大きな文字のほうが良い。 この「遠」の看板をいつも目に留まらせておくことで、車検時期に思い出させる要素にしたりきれいにしたくなった時、「そういえば、洗車って出てた」と思わせることが有効だ。 他業種で言えば「うどん」と書かれたり「えさ」と書いてある釣りえさ店などがこれに相当する。 「中」には商品。キーパーや手洗い洗車の表示はここから。安いのか品質がいいのか、新しいのか名物なのか、など商品の特性をできるだけ一つにしぼり、わかりやすく掲示する。 安いものなら価格表示をでっかく、品質表現なら、それをイメージできる写真かコピーでビジュアル的に見せる。 また、キャンペーンやイベントもここでアピールすべきレンジだ。 「近」は背中押し。来店者や店の前を通る通行者に対し、「これ欲しい」と財布を開かせる役目までを負う。 ここではもう表現力の勝負。 押しまくるだけでもだめ、「遠」と同じように単語を羅列してもだめ。「そそる」ということを意図し、様々なアプローチが必要になる。 このように看板一つ取り上げても、視点に応じた作り分けが必要となるので、「出しとけばいい」という感覚はコストパフォーマンスの低下につながる。 「刺激点検」を定期的に「遠・中・近」の視点で行い、適切な演出を行う。 店頭の演出は、明確な意志があってこそ目の肥えたドライバーを引きつけることが出来る。