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社会の成長に伴い、生産と消費が繰り返された二十世紀。結果、そこに残ったのは使い捨てられた数多の廃棄物。インフラを整えないまま急速な消費を続けたことで、環境を破壊する負の副産物処理に追われている状況だ。
中でも廃棄物処理の現場は、処分の方法を間違えれば明らかに地球環境に悪い影響を与えることが年々問題視されている。
今回のシゴトは『産業廃棄物処理』。華やかなシゴトばかりでは社会は回らないこと、ちょっと考えてみよう。 |
産業廃棄物とは
オリンピックでテレビの需要、猛暑のエアコン需要、景気回復による新車需要、欲しいものが簡単に手に入る昨今だが、こうした最終需要に応えている各メーカーでは、工場で様々な廃棄物が生まれている。服を作れば裁断くずが、自動車や電化製品では金属くず、プラスチックくず、ガラス破片。消費されたあとには壊れた製品が廃棄物になる。これらは地球に還元されるものではない。日常生活を当たり前に過ごしている背景には、必ず多くのリスクが伴っているのだ。
廃棄物処理には、生産をする排出業者、それら廃棄物を運搬する運搬業者、最終処理をする処分業者という3つの業者が関わることになる。処分方法を大まかに分けると、焼却と埋め立てがあるが、最近は特にリサイクル促進が強化されている。
産業が活発になり廃棄物が増えると、処理業者は安易に廃棄物を引き受けることで利益を追求し、最終処分を不法に行うものが増えた。廃棄イコール見えないものにするという社会の概念が生み出した弊害となった。
産廃は経営リスクとなる
医療廃棄物や劇物を取り扱う製造業においては、廃棄物処理を間違うと大きな経営リスクとなる。作ったものや使ったものの処理は、それらが最後にどうなるかまで見届ける責任が各メーカーにも使用する病院などにも発生している。
医療廃棄物が出される病院では、特に重要な責任を負うことになる。もし感染症の処理に使った医療器具が適切な処理をされないまま山間部に埋められていたとしたら、どれほど自分たちが予防に注意を払ったとしても、知らない間に生活環境が侵されてしまう。
すべての産業廃棄物に適用されるのが望ましいが、医療廃棄物に関しては環境省が求める処理マニュアルに基づき、適正処理を行おうという推進運動が進んでいる。処理システムや処理方法の質向上、情報公開、どこの業者が介入しているか処理マップのようなものまで作っている。
循環型社会を形成するために、リデュース(抑制)、リユース(再生)、リサイクルの3Rを提唱してきた時期が過ぎ、今やリフューズ(不要なものを買わない)とリターン(購入先に戻せるものは戻す)を加えた5Rになっている。そして、処理については熱回収できるものであること、適正処分をすることが大きなポイントである。
産廃から何が見える
環境省がまとめた平成十三年度の産廃処理状況によれば、総排出量は前年実績の1.4%減で約4億トン。このうち業種別排出量の上位5業種は、
1電気・ガス熱供給・水道
2農業
3建設業
4パルプ・紙・紙加工製造
5鉄鋼業の順である。
種類別では汚泥がその45%を占め最も多い。
産廃施設としては、焼却や液剤の中和施設、汚泥の脱水施設、油再生施設など中間施設と呼ばれるものが増え、逆に最終処分場(埋め立て型、遮断型など)が減る傾向だ。つまり、社会の方向は明らかに再生なのである。
市場規模が3兆円とも言われる産廃業界。ゼロエミッション(廃棄物を排出しない)達成を目指す企業が増えているなか、産廃業者の能力に期待されるところは大きい。見えないところに隠してきた産廃業者は、今後は一層淘汰される。いかに次の資源に再生できるかを研究し開発する企業再生には、時代の先端を獲る可能性が潜んでいる。
私たちは常に、改善や改革の知恵を持ち合わせていく必要がある。今ばかりに捉われていると、明日を見失い人も企業も成長しない。何もかも現状が当たり前ではなく、全てにおいて日々様々な努力と構造改革が試されているのである。再生を模索し研究開発に余念がない企業を見ると、そう思えてくる。 |
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