- サプリメント
再びMINEのスーパー耐久にやってきた。ホテルに入ったのは7月26日(土)夕方。車の調子はかなり良さそうだ。みんなも元気そう。 翌日決勝の日、朝6時半出発。ピットウォークが終わると、にわかにピットが忙しくなってくる。コースインは11時半過ぎ。その前に、今日の作戦会議か?雨が降ったりやんだり、こんな日はタイヤの選択が勝負の大きな分かれ目になる。今回はスタートドライバーである田中選手が、気合を入れて車に乗り込む。ここからがレース本番。 またも迷うタイヤチョイス タイヤはどうしたか。例の「ラーメンタイヤ」を着けてスタートする。 降ったりやんだりの雨は、この時には上がっていた。キッチリ乾けばスリックタイヤが圧倒的に強いが、また少しでも雨が降ってくるなら、「ラーメンタイヤ(DUNLOP DIREZZA)」が有利だ。 スリックもラーメンタイヤも、この状況では一長一短で、どちらにとも決めがたい。迷いに迷った挙句に、結局、ラーメンタイヤを履いた。 ごぼう抜きスタート スタート直後、田中選手は一挙に2台をぶち抜いた。すごいスタートだ。いいペースである。しかし、無情にも雨は上がってきた!完全に上がった。雨が上がると同時に、熱く熱せられたレースタイヤが路面を急速に乾かしていく。せっかくスタートの時に抜いた車も、No.17をかわしていくようになった。 さぁ、どうする。早々にピットインしてスリックタイヤに換えるか? その時、ピットで観戦中の畠中が、「これ、また雨が降ってきますよ。MINEは西からの雲が雨を持ってくるんです。」と、西の方向の山に低く下りてきている雲を指す。 「雨がもう一度降る」と予言してしまった畠中は、心配そうに空を見、手を差し出して雨を待つ。しばらくして、ポツッポツッと雨しずくが落ちてきた。降ってきた! 路面は一瞬のうちに真っ黒に濡れ、水しぶきが上がり、スリックで走る車のスピードが極端に落ちる。水膜の出来た路面をスリックタイヤで走ると、たちまちハイドロプレーニングが起きて、真っ直ぐ走ることすら困難になるのだ。この中を田中選手は、前を車をごぼう抜きにしていく。あっという間に、クラス2位にまで浮上! あの時スリックタイヤに変えていたら大変なことになっていた。あそこで何周かをラーメンタイヤで我慢したおかげで、トップももう目の前に来ている。いやはや、神様、仏様、畠中様であった。 この調子だと、表彰台の真ん中か?ピットの中が盛り上がっている内に、しかし、また雨・が・上・が・っ・た。瞬間芸のような雨であった。しかも、今度は太陽まで出てきた。 たちまち、路面はまた乾いていく。スリックタイヤを履く連中が、グングンスピードを乗せてきて、また田中選手を抜いていった。もう迷うことなくスリックタイヤに換える場面だ。 しかし、大問題が1つ。その時、ピットにはスリックタイヤが2本しかなかったのだ。ホィールの組み換えにタイヤサービスの方に2本行っていたのだ。雨がもう一度降った時に、まだしばらくスリックの出番は無いと読んで、ナットを入れ易いホィールに組み替えに出してしまったのだ。 その雨がすぐにやんでしまい、状況がガラっと変わってしまった。一刻も早くタイヤを換えなければならない。 無線が! もう一つの大問題が起こっていた。そのころ、車とピットをつなぐ無線の具合が悪くなっていたのだ。 無線が無ければ、車とピットをつなぐコミュニケーションは車がピット前を通過する時の「手での合図」だけ、だから、サインマンも必死でドライバーのサインを見落とすまいとするが、今は便利な無線がある。「何かあれば無線で言ってくるはず」と、ドライバーからの手合図を重要視していなかったのかもしれない。 田中選手爆発 田中選手は、もうどうしようもない状態まで来ていた車で、合図が通じないまま、仕方なくピットインすることにした。 ピットは、驚いた。合図が通じていなかった訳だから、No.17は「突然」ピットインしてきたことになる。しかも、スリックタイヤがまだ戻ってきていない。どうする。ピットインした車から降りてきた田中選手は、まずサインマンに怒鳴った。「バカタレッ〜! 手で合図しとったろうが!」きょとんとするサインマン。 そして、また「ラーメンタイヤ」を着けようとするメカニックに(スリックが無いのだ)「何で、ラーメンつけるんだ。スリックはっ?」そこで、スリックタイヤがピットにない事を聞いて、爆発した。完全に爆発した。 ピットに戻ったNo.17KeePreインテグラは、不運が重なって、晴れているというのに、また「ラーメンタイヤ」を履いて出て行くことになった。爆発した田中選手は、まだ興奮冷めやらぬ様子で目をむいて鼻から息をしている。その勢いにみんな怖がって近づかない。 コースに出て行った石川選手、やはりタイムか伸び悩んでいる。突然、石川選手がピットに入ってきた。「エンジンのパワーが全然ありません。」燃料系か?燃料はキチンと流れている。圧力も正常だ。 やっぱり電気か?エンジンのプラグに高圧電流を送る「ダイレクトコイル」が怪しい。それを1本1本外していって、全部新品にしたら、直った。この時にタイヤを4本とも「スリックタイヤ」に交換したことは言うまでも無い。燃料も補給する。 なんとか4位完走 また、突然No.17がピットに入ってきた。やっぱりエンジンのパワーがまったく出ないと言う。先ほどと同じ症状だ。また、ダイレクトコイルを全部新品にする。今度は一発で直った。今度こそ直ったのか、しばらく淡々と走っている。そうこうしている内に、また入ってきた。今度はコースアウトしたらしく、フロントのエアロが壊れている。 急いで修理をして、燃料を補給する。こうして、さんざんのトラブルの挙句、そして、さんざんピットインした挙句に、「無事」完走することが出来た。無事に4位である。 こんなに色々あったレースははじめてである。 MINEが終わったら、今度は、十勝24時間だ。今度は、見物ではなく、私も走る。カリカリのN+クラスのインテグラで、みんなの足をひっぱりながら、24時間レースを走るのだ。