と、そんな時、約半年ぐらい前であったであろうか、ドイツのSONAXでの研修開発の責任者であるマンフレッド・ピッチ博士から乳白色のケミカルサンプルが2種類送られてきた。わずか4リットル程度ずつであった。
「VPー56」と「VPー59」
「ボディーの樹脂部分の艶出し、あるいはタイヤの艶出しに最高です。しっとりした上品な良い艶になります。試してみてください。」とある。
早速、開発部がテストしてみる。
「ホホ〜〜〜ッ」いいではないか。ではということで、今度は快洗隊に持ち込んでみる。
いつも辛口の酒部マネージャーが「このタイヤワックス、すごいですよっ!ものすごくしっとりした艶で、しかも、超塗りやすいです。こんなイイの初めてですよ」
早速、ドイツSONAXに報告。
大変気に入ったので、これを欲しいと申し出た。
しかし、「これはダメ」だと言う。訳を聴いたら、「これは非常に特殊な設備で造ったもの。今までのものとは桁違いの大変な高圧、高熱の釜で、界面活性剤を使わずに、強制的に分散したものです。
シリコンも特殊なもので、このまま製造しても非常に高い価格になってしまう。それでもいいですか?」私達は業務用のケミカルメーカーだ。消耗品であるタイヤワックスを高いコストで作っても、販売は出来ない。
とりあえず、高いと言ってもどれぐらいなのか。こちらから指値(買上価格提示)をしてみる。
とても無理だとの返事が来たが、「その価格でやれるものを、新しく作ってみる」とも言ってくれた。
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