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●「そんな金が払えるか!」
 「give and take」お金を払い、商品を得る行為「買い物」において、その行為をするのが「お客様」。この社会の法則に反し、giveせずにtakeしようとする「万引きや泥棒」は犯罪である。与えることなく得んとすることは、社会として認められない。



 例えばある商品に千円の値札がついている。それを欲しいと思い、千円の価値を感じれば「買う」。give and takeの成立だ。しかし、「欲しいけれど千円では高い」と思えば「買わない」となる。販売者は商品が売れないので値段を六百円に下げるが、まだ売れない。思い切って四百円にまで下げたところ、やっと売れた。ところがその商品の仕入値は五百円。利益を得るための商売に損が出る。その商品はgive and takeが成り立たない「ダメな商品」となる。利益が得られない商品なので、以降は仕入先から「買わない」ということになる。


 例え話をもうひとつ。
ある業者がクライアントに仕事の企画を提案した。クライアントとしては、不急の仕事と捉えていたが、業者側から思わぬ安値を提示され、急ぐ仕事でもないが発注することにした。ところが仕事が終わり出された見積もりは、当初提示額の八倍以上となっている。当然クライアントは抗議する。業者曰く「金額に見合う価値のある仕事をしたつもりです」。クライアントの疑問に対処する形で、当初提示の六倍程度までには下げてきたものの、クライアント側が納得できる金額では、到底ない。



 give and takeとは、そこに虚偽があってはならない。それは詐欺に値する。しかし、より重要なことは、giveとは相手に与える付加価値であって原価とは関係のないものである、ということなのだ。「価値のある仕事をした」と判断するのは、与えるほうではなく受けるほうなのである。相手に対し、どれほど貢献ができたのか。それによって仕事の値段は決まる。



 「洗車」に置き換えるなら、どれだけお客様に「キレイの満足を与えられるか」であり、どれだけ洗う側の「労力が要ったのか」は関係ないのだ。結果の満足がgiveに当たり、それに対しての価格takeが値する適正なものかどうかだ。



 「結果、費用がこれだけかかった、だから支払って欲しい」という論理は顧客に提示すべきことではない。「仕事の負の結果」を顧客に回すという不合理をすれば結局は自分の首を絞めることになる。



(相手に対する付加価値=売値)ー原価=利益であって、原価+利益=売値、ではないのだ。
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