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●IP電話の汎用化
イメージ画像 プロモーションのアイデアと徹底したねばりには閉口するものの、『Yahoo!BB』はIP電話の普及に大きな「功績」を残しつつある。インターネットの普及に伴い、通信サービス各社も、インターネット経由のIP電話サービスは手掛けはじめていた。ところがIP電話は、例えば一般の加入者電話から着信できないとか、PCを立ち上げないと利用できないとかの不都合がつきまとっていた。これらの障害を取り除く解決策となったのが、加入者電話に「VoIP(音声をデータ化してIP網に送る)」アダプタを接続するというものだった。
 『Yahoo!BB』のBBフォンはこの通信を可能にするモデムを直接ユーザーに配布したのである。サービス開始当初は新聞、TVメディアを使い宣伝を張った。しかし「使ってみないと分からないモノ」であることで、いくらメディアを使って注目される宣伝をしても効果は薄かった。
 押しつけ感が強い販促活動の反動で、キャンペーン開始後しばらくは、悪評も流れたり、各家庭の通信環境に関する説明不足などで、ユーザートラブルが絶えなかった。最近の雑誌統計を見ても、通信販売につぎ、消費者センターへの問い合わせや苦情が多いとされる。しかしながら、現在『Yahoo!BB』の契約者数は200万人を越えている。NTTの6000万人には遠く及ばないように見えるが、ほんの2年だ。
●IP電話の○と×
 1月中旬に、街角で『Yahoo!BB』のモデムを受け取ってしまった。タダで貰えるわけでもないのに、好奇心が作用して手が先に出た。その時、キャンペーンの女性はこう言った。「今お宅はインターネットに接続していますか?」「今お申込いただくと、基本設置サポートが無料で、接続料とモデム使用料が3ヶ月タダです」
 ソフトバンクBBのVoIP基盤ネットワークは、接続の契約をすると自動的に『Yahoo!BB』とプロバイダ契約をすることになり、それによってBBフォンの契約も有効ということになる。プロバイダが切り替わるから、これまで使っていたアドレスも変更せざるを得ない。アドレスを変更したくないと言うなら、現在のプロバイダ契約を生かして通信業者と契約するほかない。OCNやODNのような通信と接続を兼ねた業者は通信料と接続料を合わせて定額のプランを出しているのでお得だが、アドレスは変わる。現在のプロバイダがIP電話に対応したアッカやeアクセスといった通信業者とタイアップしていれば、それを利用して通信料の定額化ができるかもしれない。
 アドレス変更は良しとしよう。気掛かりなのは当方二つ持っている回線の一方をISDNでファックスと電話に、インターネットはADSLでと使い分けたいということで、NTTの局内工事の告知をしてきた人に聞いてみた。すると、アナログとデジタルを隣り合って使うと障害が起きるケースがあると言う。なにやらスムーズではない話になってきて、思い至った。「今はまだ使いこなす環境になっていない!」。これはあくまで個人的な理解力不足もあっての結論であったことも書き添えて置くが、やはりいろいろ複雑。
●BBフォンモデムの行方
  こうして役立たずのモデムは、しばらく部屋の隅にころがっていた。その後、工事をしていないことに対して、Yahooからは何も連絡がなかった。3月の終盤、どうなるのかとカスタマーセンターに電話を入れた。フリーダイヤル0120-919-820(クイック・ヤフー!)はガイダンスを含めて五分経過したところで肉声とつながった。
 IP電話の現状で、基本的に覚えておく必要があることは、NTT回線での3桁番号へはつながらないということ。緊急電話である警察や救急、加えて番号案内。それともうひとつのネック、IP電話同士では非通知でかけられない。先に186をかけて一旦NTTにつなげてからでないとつながらないのである。つまりヤフーとしては、NTTとは契約を継続した状態で、BBフォンを利用しろというのである。ちなみにNTTの基本使用料は2,830円也。ただBBフォン同士だとその後の通話料は無料となる。
 さて、『Yahoo!BB』にキャンセルを申し出る前に、キャンセル担当者の女性に聞いてみたこと。

「工事が終了しないまま2ヶ月経過していますが、御社からは何も連絡ありませんでしたが?」すると、「キャンセルのご希望ですか?」と切り返す。「そうですけど、やはり無料期間終了間際にならないと連絡はくれないのですか?」返ってきたのは「え〜。たぶん無料期間が終わる頃に郵便かなにかでご連絡を差し上げると思います…」え?


「連絡が無いかもしれないのですか?」
「う〜ん。たぶん連絡が行くと思いますけど」
「たぶんですか?アナタはご存じ無いのですね?」
「…」
「じゃあ、モデムを返却して下さいと連絡があって返しそびれていたら、どうなりますか?」
「それは使用料を頂くことになります」
「使っていないし、それも払わなかったら?」
「モデムをご購入いただくことになります」
「モデムはいくらですか?」
「…。しばらくお待ち下さい」


自分が知らないことに答えられないと気付いてか、変な奴!と思ってか、担当者の女性は電話から一旦離れた。
「お待たせしました。モデムは42,720円です」
だそうである。これも払わずにいると、債権回収機構かなにかから怖いような請求書がとどくのだろう。
 こういうことなので、「お持ち帰り」をするときはよく吟味をしないと手間がかかることになりかねない。ただし返却時の宅配手数料は『Yahoo!BB』持ちである。ちなみに返却先は川崎市内某所。
 
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