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●企業のインターネット活用
 加速度的な普及を見せるインターネット。双方向メディアと表現されるように、個人がネットを通じて情報発信でき且つ全世界の情報が瞬時に入手できる。99年、社会問題にまで発展した「東芝事件」は、一消費者が企業の対応を個人HPで暴露した事に端を発し、それまで企業が顧客対応としてマニュアル化してきたことが根底から覆される事態にまでなった。


 個人レベルでは、人がこれほどまでに井戸端会議めいたことが好きなのかと驚きを感じた事件であった。日に750万超えのアクセス…。それくらい野次馬が多かった。ネットパワーが、使いようによっては莫大な力となる事も世間に思い知らせたことだろう。またインターネットが一個人に、大企業に匹敵する「情報発信力」を持たせたことを気付かされる事件でもあった。


 こうした教訓が、企業ではマイナス要因だけでなくプラス要因としても、インターネット活用として積極的な情報提供や見えない消費者のパートナー化など、様々なアイデアでもって行われてきた。ただ、情報化社会という言葉に踊らされて、意味の無いホームページが幾多できたのも、この頃である。
●掲示板
 企業広報としてホームページが多く立ち上げられた当初、ベストモデルと呼べるサイトなど無かった。もちろん各社とも模索していたことと、ホームページを開設する意義にもそれぞれに疑問があっただろう。そうした手探りの中、掲示板を設け来訪者の直接的な意見を回収する試みが多く見られた。とくに中小の企業、中でもサービス内容に対する意見を求めるには、変に垣根のない掲示板は有効であったかもしれない。


 ところが、ネットユーザーも進化し場慣れてくるにつけ、誹謗や中傷といったアンモラルな書き込みによる掲示板の荒廃が目立つようになった。意見の共有や反論ができるという掲示板は、相手が見えないからこそ守らなければならないルールに縛られることがある。本来「掲示板の使い方」などとは愚であり、個々人のモラルに拠るところなのだが、計り知れない犯罪が蔓延する世の中において、自己規制を求めても叶わないのであろうか。


 投稿するものに年齢制限などない。子供が大人を取り繕って参加する事も可能だ。そうした環境で、一定レベルの会話をしようとすれば、それぞれが自己意識を高くもち倫理に沿った言動に尽力するしかない。何を言おうとしているか、何が聞きたいか、他のどんな意見が欲しいのか。決して堅く学術的レベルの会話を求めるのではないが、大人の会話をすべきなのである。
●利用規約
 あるゲーム機のメーカーが設けるBBSは、その規約を非常に細かく明記している。同じサービスを共有する仕組みにおいては、ユーザーの様々な疑問や使い方に関してユーザー間の意見交換は求められるところだ。ただ、書き込みの技術ひとつとっても、レスポンスが書きやすいように工夫するとか、他企業の批判やハードの話など厳禁であるとか、発言に責任を持つように促したり、地域限定の話題は遠慮すべきだとか、初歩的な事から指南している。


 規約に定めることは、学校の校則のようなものだ。ダメダメと予め示唆されているBBSでは存在の意義が見出せない。だからこそ、言いたい事を延べ、それが相手先企業の意見を求めているのか、それとも公言したいだけなのか、同調意見が欲しいのかをはっきりさせ、改善や対策を明確に要求するものであれば意見を公開した上で個人メールに対応策をレスして欲しいとすれば済むではないのか。しかしながら、ひとたび消費者の立場に身をおくと、言っている事としてくれることの間に存在するギャップには、言いようのない不快感を抱くのも本音である。
 ホームページに設けられたBBSは誰のために何の役に立っているのであろうか?
 
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