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 バブル後の、出口の見えない不況というトンネルが、ここへ来て少し変化を見せている。何に因しているかは諸説紛々だが、経済新聞を開けば半期業績や四半期の売上げなど、軒並み「増」という文字が踊っている。


 さて、低迷する景気を象徴するかのように街中に溢れ返っていたタクシー。時代を反映する物差しに例えられることが多いのも、またタクシーである。
 こうした時を映すサービス業であり、且つ必ず人と人との接点が生じ、利用する者にも利用してもらう者にもある種のリスクがつきまとう業種。



今、このタクシー業界はどのような動きをしているのだろうか。
●タクシー事業の現状

 タクシー運転手が、客に対し問わず語りをするケースは多い。これをサービスだと考える運転手もいれば、ただ単に話し好きの輩もいるだろう。客の数だけドラマがあるとも言えるが、運転手の方にも少なからぬドラマがあるのが当世のタクシー業界だ。イメージ画像



 長引いている不景気は、働き盛りの中高年を直撃し失業者を多く産出した。年齢制限に引っかかり、就職もままならない。ところが、そんな求職者に対し常に広く門戸を開けているのがタクシー業界。求人誌の掲載常連業種なのである。




 昨年、この業界もいよいよ規制緩和の嵐にさらされ、各社ともサービス業としてのタクシーの在り方を真剣に模索し始めている。しかもこの時勢で、「タクシーあまり」は自明のことだ。にもかかわらず、週刊求人誌には、常に見開き1頁を使い各社競って人材募集をうたっている。つまり単純に考えれば、採用しても長続きしていないのだと推測できる。実際、営業成績が上がらず、業界用語で言う「アシキリ」がある。最低限度に満たない売上げだと、給料や諸手当に大きく影響するという現実が、新参の運転手を待っているのだ。




 では、いったい日本全国で、どれほどのタクシードライバーがいるのだろう。
 平成14年3月末現在、運転手(法人タクシーのみ)は三十六万人。個人営業主が四万六千人余りなので、およそ40万人の運転手がタクシードライバーとして業務しているわけだ。大阪府枚方市か岐阜県岐阜市の全人口数に匹敵する数だ。
 タクシー(ハイヤーを含む)業界の年間営業収入は2兆1,500億円(平成13年度)、民間鉄道にほぼ並ぶ収入高となっている。




 好むと好まざるとにかかわらず、タクシードライバーを生業としている人の平均年収は325万円。年間労働時間は2、424時間で、全産業平均(555万円で2,172時間)と比較すると、年収ベースでは41%低く、労働時間は12%多いという数値が出ている。さらに、タクシー業界は労働集約型で80%が人件費であるため、タクシー会社は至って厳しい状況に置かれているといえる。

 
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