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 商品を継続的に買ってもらうこと、つまりリピートが、店舗の繁栄の一番大きな要素である。これは、前号、東京ディズニーランドの成功の例を挙げるまでも無く事実である。
 「継続販売」とは、売る側がどこまで買う側の立場に立って、商品、接客などを考えられるのかに掛かってくる。売買の決定権は、ほぼ100%買う側にある。このため売る側は買う側の考えていること、感じ方、欲求、価値観を、十分に理解しなければ、売買が成立することはない。つまり買わないから売れないということになる。
●決定権は買う側にある
 言い方を変えれば「商品(物・サービス)」が売れるかどうかは「買う側の気持ち・価値観・都合次第」で「売る側の都合」はまったく関係ない。これは原則である。

 しかし例外もある。その代表的なものが「水道」「電気」「ガス」。現代社会での生活に最低限“必要な”もので、使う量=買う量が多いかどうかは別にして、否応無しに買わなければならない。同じように「燃料」「車検」とか「医療」なども買わなければならない商品。どこで、どのように買うのかという選択肢は買う側にあるが、買わないと言える自由はない。

 こうしてみると、SSの取扱商品には「買わなきゃいけないもの」が多い。
●「買うべきです」
イメージ画像 私は、33年前、18歳のときからずっとSSに勤めていた。約20年前に独立したときもSS運営だった。だから「商品は売るもの」が当たり前であると思ってきた。「お客様、オイルがだいぶ汚れてきていますので、このままではエンジンに負担がかかり、寿命を縮めてしまいます。そろそろオイルを換えなければなりませんが、どうでしょうか。」
 「お客様、今、バッテリーの点検をさせていただきましたら、かなり電圧が落ちてきています。そろそろ交換してやりませんと、いつ突然エンジンが掛からなくなってしまうか分かりません。交換しておきましょうか?」
 「お客様、今、クーラーのガスの圧力を測りましたら、かなり圧力が落ちています。暑さが本格的になる前にガスを補充しませんか。この状態ですと、コンプレッサーオイルも減っているはずですので、コンプレッサーが壊れる可能性もあります。コンプレッサーの修理は10万円以上掛かりますので、今のうちにやっとおいた方がお得ですよ。」

 私たちは、お客様に対して「壊れちゃいますから」「やらないといけませんから」などを殺し文句にして「売ってきた」。私たちは、車のメンテナンスを担う一つの業種として、お客様の車の安全のために「やるべきです」「買うべきです」と売ってきた。誇りを持って売ってきた。
 ただし、「壊れるはずがないもの」を「壊れるから!」とか、「やらなくてもいい事」を「やらなくてはいけない!」とか、売らんがための「ウソ」をついてまで、売ろうとした者もいて、それがバレた時点で信用をガタ落ちさせた。そして、その人はオイルも、バッテリーも、ワイパーも、タイヤも何も買わなくなり、どうしてもSSでしか売っていない「燃料」だけを買う。そんな人を作ってしまったことも事実だ。これはこれで、私も含めた業界全体として、深く反省すべきことだとも思っている。


信用を勝ち得るには長い時間が要るが、失うのは一瞬である。
 
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